海洋散骨体験レポート


【出航まで】


未来樹の丘で働きはじめて5か月、初めて海洋散骨の現場へ連れていって頂けることになった。散骨とは、ご遺骨を自然に撒いて供養する「自然葬」の一種で、お墓を購入、維持する負担が無いことが大きな特徴だ。近年、新しい供養のスタイルとして存在感を増している散骨であるが、実際にどのように行われているのか、その現場に立ち会い、感じたことをお伝えしたいと思う。


当日の午後1時頃、出航場所である八代市の係留施設に私はいた。小型の漁船やプレジャーボートがところ狭しと水面に浮かび、その隙間を縫うようにして、細い桟橋が伸びている。

船長の指示でトラックの荷台から必要な機材を降ろして、桟橋から船へと身を移す。少し足を動かしただけで船が揺れる、小さなボートだ。天気は快晴で、波も非常に穏やかであった。


出航の準備


【出航~湯島沖まで】


準備を終え、いよいよ出航だ。発動機が唸り、船は沖へと前進していく。全身で浴びる潮風が心地良く、足元から伝わる揺れが波の凹凸を感じさせる。今まで船といえば観光用フェリーぐらいしか乗ったことがない私にとって、何から何まで新鮮な体験だった。


岬を出て、眼前に有明海と、それを挟む島々が広がる。穏やかな秋の日差しに照らされた、澄んだブルーの海、その両脇には、緑豊かな岸辺が続いている。思わず見とれてしまうような、美しい光景であった。


景色だけではない、有明海は都会の海のような磯臭さが全くせず、実に爽やかだ。私は関東出身で、最近熊本に来たばかりなのだが、故郷の海との違いが五感全てで感じられる。


船長に、辺りにみえる山々や、島を架ける橋梁の名前など教えてもらいながら、船は散骨場所である湯島沖まで進んでいった。


美しい有明海の島々
上天草の中の橋 永浦島から大池島を結んでいる
雲仙岳(写真奥)がとても荘厳だ

【湯島沖に到着。散骨を行う】

 出航してから30分ほど、有明海の中心に位置する、湯島がはっきりと見えてきた。船長が船の速度を緩めて、ご供養の準備をはじめる。


 はじめに、海にむかって献酒を行ったあと、故人のご遺骨が入った水溶性の袋を取り出す。そこに少しばかりの切れ目を入れて、丁寧な手つきで水面へと浮かべる。パウダー状になったご遺骨は、穏やかな潮の流れに漂いながら、ゆるやかに海の中へと広がり、そして、還っていった。


 ご遺骨を海へと還したあと、献花を水面に浮かべ、船は再び動き出した。漂う献花を中心にして円を描くように、海上を左回りに小さく3周する。この行為の理由を船長に聞くと、「人間は生まれるときに、母親の子宮を右回りに3回転して降りてくるそうです。なので、母なる自然に還るという意味で、逆の方向に3周するんですよ。故人様に安らかに旅立って欲しいという、私なりの願いをこめたお見送り方です」という答えが返ってきた。


散骨を終えて、船は元来た海路へと進む。水面に、わずかに西日が差しこんで、キラキラと輝いている。その感傷的な美しさに、故人を偲ぶために、これほど相応しい景色はないだろうと感じた。


「ネコの島」として有名な湯島(写真中央)
はじめに献酒を行います
ご遺骨を海に還します
献花します

【おわりに】

失礼ながら、私は今まで散骨に対して、「既存の高額なお墓システムから逃れるための、消極的な選択肢の一つ」という印象を抱いていたが、今回の体験でそれは全くの間違いであったことがわかった。


 有明海の眺望、静けさ、匂い、その全てに神聖さが感じられ、美しい自然にご遺骨を還すという意味では、まぎれもなく立派な供養と言えるだろう。

 一つの生命が役割を終えて、母なる海へと還っていく。別れのさみしさはあっても、故人やご遺族にとって、自然の流れ、生命の流れを感じられる、温かいお見送り方法だ。


 世界中、どこにいても、海を眺めればいつでも故人のことを思い出して供養ができる。数あるご供養の選択肢の一つとしてとても魅力深いものであると感じた。


帰路へ

(Nakao)

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